論文を書くには その7

 Referenceは、引用文献のことです。論文の作法として、引用文献は下記のように記載します。

 「~~と言われている(1)。」

 この文末に付いている(1)のように、誰が言ったのかを引用します。そして引用文献のフォーマットが論文毎に実に色々あるのです。例えば、出てきた順に1,2,3・・・と並べる場合もあれば、筆頭著者のアルファベット順に並べる場合もあります。

 さらに雑誌の引用方法もVancouver式や、APAなど、科学のジャンルの雑誌だけをとってみても様々です。医学論文はVancouver式が多い気がしますが、記載する著者は最初の3人とか6人とか、様々な指定があるので大変です。さらに、論文を修正していく過程による加筆や削除で、引用文献の順番が変わることがしばしばあります。

 そのため、引用文献に関しては専用のソフト使いましょう。無料のMendeley、もしくは、定番のEndnoteがおすすめです。

文献管理ツール Mendeley ガイドブック

文献管理ツール Mendeley ガイドブック

最新EndNote活用ガイド デジタル文献整理術 第7版

最新EndNote活用ガイド デジタル文献整理術 第7版

 両者とも文献管理ソフト+論文作成支援の機能があります。両者ともにWordへのアドイン機能があるので、ワンタッチで論文に引用文献を挿入することが可能です。この機能を使うには、論文を取り込んだ時にMendeleyもキチンとした書式にしておく必要があります。

 デメリットとして、Word以外のテキストエディタでは、この機能が使えないことです。また、2019年2月時点では、Office Online(オフィスオンライン)のWordに非対応なので、注意が必要です。論文を書く際のテキストエディタが限られているのは、今後改善してほしい部分です。

文献管理ソフト・Mendeleyの使い方

 ここで、Wordにアドインして使えるソフト・Mendeleyについて、簡単な使い方を紹介します。

 <文献管理ソフト・Mendeley の使い方>

 1)  MendeleyをWordにアドインした状態で、参考資料を選び、insert Citationを選択する

 2)  検索窓が表示されるので、引用したい文献を入力する(First Authorやタイトルなど)と、引用文献が挿入される

 3)  論文を書き終わった後に、insert biographyを押すと、脚注が作成され、アウトライン形式で引用文献が表示される

写真 MendeleyをWordにアドインする

 Mendeleyは、以上のようにお手軽に使用できます。

 

 論文執筆の最後の段階での話となりますが、論文全体のチェック、英文のチェック、Referenceのチェックは、業者に外注するのが良いでしょう。

 各工程のチェックポイントを下記にまとめました。

 1) 英文校正

 英語はネイティブにチェックしてもらった方が良いです。これは英文で書くときは必須だと思ってください。ネイティブ並みに英語が書けるのなら、そもそも困らないのですが・・。

 2) フォーマット調整

 図やテーブルも、様々なフォーマットに対応する必要があります。特にテーブルは、Wordファイルで本文の後にいれたり、PowerPointで出力したりと様々なので、投稿規定をよく読む、あるいは、その雑誌に投稿したことのある先輩などに聞くことが必要です。

 フォーマットの問題は大事とはいえ、本質的には重要な要素ではありません。

 3) referenceのチェック

 referenceのフォーマットも投稿先により様々ですので、対応が必要です。

 最近は色々なサービスが展開されていて、「定額で何回でも校正します」、「引用文献のフォーマット調整なども行います」など、気の利いたサービスもあります。

 私がよく使うサービスが、Editageです。

 最初に利用した時に特に問題がなく、英文校正を何回かけても文字数が超過しなければ追加料金がかかりません。さらに、フォーマット調整(引用文献の調整が入る)が1年以内であれば無料というメリットもあるため愛用しています。

 もちろんこの他にも、同様のサービスを運営している会社があります。各サービスによって、特徴があると思いますので、自分にあったところを探してみてください。

 ・翻訳センター

 ・校閲依頼.com

 ・プロ・エディット・ジャパン

 ・ThinkSCIENCE

 また、学内でネイティブチェックが受けられるサービスもあるかもしれません。しかし、ネイティブチェックを受けたにもかかわらず、英語部分を指摘されると気まずい人もいるでしょう。その点、相手が業者であれば、「代金を払っているんだから、きっちりやってほしい」と要望を伝えやすいこともあるかもしれません。そのため、好みによって外注先を検討することをおすすめしています。

やはり、論文執筆にモニター二画面は必須

 この記事はTipsなので、より便利にするには、ということになると、以前の記事で紹介したように、二画面のモニターが最低でも必要になると思います。

 特に、論文を引用する際には、右画面はMendeleyで文献を読みながら、左画面はWordで本文を書いて、文献を挿入します(Mendeleyの場合、Wordと連携して論文を追加できます)。

 referenceも、Wordを画面に一杯まで広げて、細かくチェックすることになります。

今回のまとめ

 1)  referenceはソフトを活用

 2)  細かい部分は外注ですすめる

 3)  論文における細部の確認は二画面あった方がベター

(m3参照)